2013/06/19
悪口の才能
人にはいろんな才能がありますが、私が天から与えられたのは悪口を思いつく才能です。誰かと話をしているとなぜかその人の悪口が浮かんでくるのです。悪口と言ってもハゲとか短足とかいうような外見の悪口ではありません。その人の内面に潜むちょっとした後ろめたさとか性格の悪さとか、そういうところを絶妙にあぶり出した素晴らしい悪口です。それはまるで天から降ってくるみたいに私の頭の中に次々と湧いてきます。もちろん私も大人ですから思い浮かんだ悪口を押しとどめようとはします。でも時々我慢が出来なくなって口に出してしまうのです。だって本当に素晴らしい悪口なんですからね。これを自分の胸の内だけに秘めておくのはあまりにも惜しい。それは天に対する冒涜だ。などと自分を説得し、思いついた悪口を披露するわけです。もちろん、ものすごく相手を傷つけるような言い方はしません。それではいい悪口とは言えませんからね。周りをドン引きさせたりしたら悪口は失格なのです。相手を深く傷つけることなく周りの人が思わず笑ってしまう悪口。これぞ究極の悪口です。素晴らしい悪口はその場を盛り上げるものでなくてはならないのです。見事な悪口を披露した後、私は自分の才能にしばし酔いしれます。そんな私を見下すようにして、みんな口を揃えてこう言うのです。「安田さん。性格が悪すぎます」