2014/01/29
いらないものはいる
何の役にも立たないものを作り出すことは結構難しいのです。ただ重いというだけで漬物石になったり、わけが分からないというだけでオブジェになったり、邪魔だというだけでつい立てになったりするからです。役に立たないものを作ったはずなのに、うっかり何かの役に立ってしまう。絶対に何の役にも立たない物体を作り出すことは、どんな役にでも立つ物体を作り出すのと同じくらい難しいことなのかもしれません。そもそも人間というのは必要のない物ばかりを欲しがる生き物です。他の動物から見たら「そんなの要らないよ」というものばかり欲しがるのです。例えば時計やサングラス。動物には必要なくても人間には必要。それは人間がその特殊な使い方を知っているからです。さらにある人にとっての「いらないもの」が、他の人にとっては「なくてはならないもの」だったりもします。植木や石や古い切手がかけがえのない宝物だと思っている人はたくさんいます。60億人も人間がいると、ほんの一握りの人たちが欲しいと思うだけでマーケットになります。だからどんどん作られる。きっと世界は一握りの人にとってのなくてはならないもの、つまり言い換えればほとんどの人にとって必要の無いもので満たされているのです。