2012/07/25
続けることによる忘却
長い間やっていないことを人は忘れがちです。ずっと歌っていない校歌とか、ずっと使っていない電話番号とか。人は繰り返し脳みそから取り出すことによって記憶を維持しているのです。長期間脳みそに貯蔵しっぱなしの情報はどうしても薄れていきます。でも反対に、毎日やることによって忘れてしまう事もあります。例えば歯磨き。あれ?上から磨いていたかな、それとも下からかな・・・と、ふと思い出せなくなることがありませんか。他にもお風呂で体を洗う順番だとか、靴ひもやネクタイを結ぶ手順だとか、体が覚えてしまっていることを脳みそは忘れがちです。思い出すには体を動かしてみるしかない。「そうだ、左手から洗うんだ」と、動かすことによって思い出すのです。でもなぜ毎日やっているのに思い出せなくなるのでしょう。それは、脳みそが命令を出していないからです。命令しなくても体が勝手に動く。それが習慣というものです。だって、毎日歯を磨くたびに脳から命令を出していたら疲れてしょうがないですもんね。習慣というのはとても便利です。意識しなくても、気がついたら歯を磨き終わっているのです。でもその反面、恐ろしいことでもあります。だって脳みその命令なく、勝手に体と時間を使っているわけですからね。習慣は便利な友達であると同時に、人から思考と記憶を奪ってしまう敵でもあるのです。