2012/09/05
嘘と建前
嫌いなお客さんが来ても「お待ちしておりました」と笑顔で迎え、これっぽっちも感謝していなくても「ありがとうございます」と言って頭を下げる。まあ、大人のコミュニケーションとしては当たり前の行動なのでしょうが、これは嘘をついていることにはならないのでしょうか。そういうのは嘘ではなく建前というのだよ、と誰かから教わった気がします。いやもしかしたら誰からも教わっていないかもしれません。自分で自分を納得させるために編み出したのかもしれません。でも嘘と建前ってどこが違うのでしょう。人を傷つけるのが嘘で、人間関係を円滑にするのが建前。そんなイメージですけど、人を救うための嘘だってあるし、建前によって人が傷つくこともあるはずです。事実に反することを言うのが嘘で、心に反することを言うのが建前でしょうか。持っていないものを持っていると言うのは嘘。嫌いだけど好きというのは建前。いや、建前と分類するにはもうひとつ何か言い訳が必要な気がします。それは「誰かのため」という言い訳。「相手を傷つけないため」とか、「その場にいる人を不快にさせないため」とか。そういう言い訳が出来ないものはやっぱり嘘ということになるのでしょう。そう考えると建前もやっぱり嘘の一種なのでしょうね。どんな正直な人でもつかざるを得ない嘘。人間って本当に面倒くさい生き物です。