2014/06/11
自分にしかできない仕事
まだ社長だった頃、私にはひとつのジレンマがありました。それは、社長がやるべき仕事についてです。会社の中には社長にしか出来ない仕事があります。経営者同士の会合に出席するとか、社員にビジョンを語るとかです。それとは別に社長がやった方がいい仕事というのもあります。社員の採用や育成、マーケティングやブランディング。そう考えると、社長の仕事というのはいくらでもあります。とても全部を一人でこなすことはできません。そこで、任せられる仕事は任せて、どうしても任せられない仕事だけをやることになります。つまり残るのは社長にしか出来ない仕事です。でも社長にしかできない仕事と社長がやるべき仕事は違うのではないか。それが私の抱えていた悩みでした。例えば総理大臣には総理大臣にしか出来ないことがあります。でもそれは裏を返せば総理という肩書きさえあれば誰でもできる仕事ということです。そんなことに意味があるのでしょうか。大事なのは肩書きではないと思うのです。社長だから出来る仕事でも、総理大臣だから出来る仕事でもなく、安田だから出来る仕事をやるべきではないのか。自分にしか出来ない仕事を探し求めている人はそこのところがよくわかっていないのだと思います。自分にしか出来ない仕事とは自分にしか出来ない職業ではなく、自分にしか出来ない仕事のやり方なのです。