2014/11/12
成功と失敗と
長い間生きていると、成功と言ってもいいことと失敗と言わざるを得ないことがたくさん起きます。私はその両方について色々質問されてきました。「なぜ成功できたのか」「どうやったら成功できるのか」「なぜ失敗したのか」「どうやったら失敗せずに済むのか」いったい何回くらいこの質問に答えてきたことでしょう。答え続けているうちに自分でも分かったことがあります。成功を説くか、失敗を説くか。それはモノクロ写真の白い部分の話をするか、黒い部分の話をするかみたいなものだということ。どちらからアプローチしても、結局浮かび上がってくる絵は同じなのです。白い部分を強調したがる人、黒い部分を強調したがる人、いろんな人がいますが、結局どちらか一方では絵は成り立ちません。白と黒、二つのコントラストによってのみ絵は浮かび上がってくるのです。人生とは真っ白なキャンバスを死ぬまで守り続けることでもなく、真っ黒に塗りつぶしてしまうことでもない。大事なのは自分が納得できる絵を描くことではないでしょうか。白と黒。この二種類があればどんな絵だって描けます。それは水墨画やモノクロ写真を見ればよくわかります。大事なのはバランスなのです。白が強調された絵でもいいし、黒が強調された絵でもいい。でもどちらか一方だけでは絵にならない。それが人生というものではないでしょうか。