2013/05/01
己に勝つために
なぜ日本人は電車に乗ると座席の端っこに座ろうとするのでしょうか。もたれかかれる。両サイドに座られるのが嫌。気持ちが落ち着く。そんな理由でしょうか。電車の扉が開くと座席の端っこ目ざしてみんな駆け出します。まずは両端。それが埋まってしまったらポールぎわ。たとえ座席がガラガラだったとしても座席の真ん中に座る人はほとんどいません。それどころか端っこの席が空いた途端にそこに向かって移動を開始します。でもどうしてなんでしょう。日本人は几帳面だからですかね。いや、やっぱり両サイドを取られるのが嫌なんでしょうね。もちろん私だって日本人ですからその気持ちはよくわかります。端っこの席が落ち着く。これはまぎれもない事実です。しかし、です。私はこのような心の欲求に盲目的に従えるほど素直ではないのです。ガラガラの社内に最初に入り込んだなら、普通はまず座席の端っこを目ざします。それは最初の数人だけに許された特権。しかし、私はここで自らの心に抵抗します。端っこに座りたいという欲求を押さえつけて真ん中の席に座ります。後から入ってきた人は「ラッキー!」という顔をしながら私が素通りした席に腰掛けるのです。この瞬間私は「勝った」と小さく叫びます。本能に打ち勝った。そして本能に打ち勝つことが出来なかったこの大勢の人たちにも勝ったのです。