2014/11/19
人間の距離
人間はアリや蜂と同じように組織化することによって力を発揮する生き物です。どんなに頭が良い人でも、ひとりで生きていくことは困難でしょう。でも組織化すればこんなにも豊かな生活ができます。エアコンの効いた部屋でテレビが見られるのも、車に乗って買い物に行けるのも、すべては組織化の力なのです。人間がアリや蜂と違うのは、肉体ではなく頭脳を組織化できることです。情報を文字や映像で記録して伝達することによって、遠くにいる人間や、すでに死んでしまった人間の頭脳ですら活用できる。こんな生物は他にはいないでしょうね。でも弱点もあります。それは、物理的な密度を高めすぎると喧嘩を始めてしまうことです。例えば満員電車のようなものにぎゅうぎゅうに詰め込まれると、人間は狂います。会社や学校でいじめが起こるのもこれと無関係ではないと思います。人間同士にはある一定の距離が必要なのです。どんなに仲の良い友達でも、狭い部屋にずっと一緒に閉じ込めておかれると、次第に相手のことが憎らしくなってきます。これは恐らく人間という生き物の習性なのです。たくさん集まるほど力を発揮する。しかし、集まりすぎると崩壊する。そういう性を持った生物なのです。大国や大企業は大きいが故に強大な力を発揮します。でもその密度ゆえに、いつか崩壊する時が来るのではないか。そんな気がします。