2014/12/03
理想の社会とは
たくさん働いて、たくさん人の役に立って、たくさんのお金を稼ぐ。それがバランスの取れた理想の社会であると、かなり長い間信じられてきました。でもそこに『効率』という概念が誕生してしまうのです。できるだけ働かずにたくさんのお金を稼ぐこと。できるだけ勉強せずにいい大学に入れること。仕事も学問も、政治ですらも、今や効率を追求するのが当たり前になっています。たくさん働いてあまり稼げない=頭が悪い。たくさん働いてたくさん稼ぐ=普通。あまり働かずにたくさん稼ぐ=優秀。そういう図式は私たちの常識の中にもう既に組み込まれてしまっているのです。何をどう頑張ったかではなく、どう頑張らずに結果を出したか。言葉にすると語弊があるように聞こえますが、私たちが追求している『理想』は間違いなく『効率』の上に成り立っているのです。その結果、みんな出来るだけ頑張らなくなります。頑張っていじめ問題と向き合うよりも、何もなかったことにする方が効率がいい。今この世にない商品を開発するよりも、既に売れているものを作った方が効率がいい。全ては同じ精神構造から導きだされた結論です。そして行き着いたのが今の日本社会です。今の社会は見事に私たちの望んだ姿なのです。出来るだけ働かずに、出来れば人にも喜んでもらって、そこそこの生活をする。理想は実現されたのです。