2014/07/02
私はどこにいるのか
肝臓や腎臓の細胞は一ヶ月で90%も入れ替わってしまいます。骨まで含めても3年あれば全ての細胞が入れ替わります。つまり3年前の自分と今の自分は肉体的には別人だということですね。では私とは何なのか。私とは記憶です。肉体が入れ替わっても、脳みそが入れ替わっても、記憶さえ残っていれば私は私のままでいられるのです。でもそれは私の脳みその中だけに保存されている訳ではありません。私の脳みその中の記憶などいい加減なものです。朝目覚めた時に昨日の記憶を呼び覚ます。私が私であり続けるためには昨日までの自分とつなげなくてはならないのです。でも記憶は完璧には復元されません。今日の記憶は昨日の記憶が書き換えられすり減ったもの。昨日の記憶はおとついの記憶がすり減ったもの。おとついの記憶はその前の日の記憶が・・・と考えていけば、いま私の中にある記憶のどの部分が本当の私なのか、怪しいものです。でも大丈夫です。私の記憶は私の外側にも保存されているからです。それは他人の脳みその中や、メモ帳の中、そしてパソコンの中にも保存されている。こうやって書いている文章も私自身の記憶なのです。記憶は社会の中で共有され残されていく。私とは私の脳みその中にある記憶ではなく、自分を取り巻く社会に保存されている「私の記憶」なのです。